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Industry Monthly

2026年8月 業界マンスリー

Pharmaceutical industry, this month

医薬品業界の政策・市場・技術の動きを、公開情報をもとに毎月まとめてお届けします。

01

制度・薬価

承認済み新薬の発売が遅延、割安な薬価を米欧勢が警戒か(日経報道)

2026年8月23日、日本経済新聞が「がんや糖尿病、承認済み新薬の発売遅れ 割安な薬価を米欧勢が警戒か」と報じた。同記事は有料会員限定で、当社が確認できたのは見出しとリード部分のみであるため、ここでは確認できた範囲にとどめる。リードでは、国内で承認された新薬が薬価が決まらず発売に至っていない状況と、米欧の製薬企業が日本の価格水準を警戒しているという見立てが示されている。詳細および数値は原記事をご確認いただきたい。

出典: 日本経済新聞(2026年8月23日)

Expertの視点

承認と発売のあいだに空白が生じると、患者にとっては「制度上は認められているのに実際には手に入らない」状態になる。ドラッグラグの議論は開発着手や申請の遅れに焦点が当たりやすいが、承認後に止まる型の遅れがどの程度あるのかは、公開された統計だけでは把握しにくい。この点は報道の指摘にとどまり、当社として件数を確認したものではない。

厚労科研、医療用医薬品の販売名・包装表示の規制見直しを検討

厚生労働科学研究「医療用医薬品の販売名・包装等に係る医療安全に関する研究」(令和6〜8年度、研究代表者:白岡中央総合病院 渡邉幸子氏)の報告が、厚生労働科学研究成果データベースで公開されている。名称類似・徐放性製剤の取り違え・インスリンやカリウム製剤の表示不足といった医療安全事例をふまえ、いわゆる935号通知の枠組みを見直す必要があるかを検討するもの。PTPシートの記載事項、バーコード表示の標準化、英文販売名の任意化などが論点として挙がっている。研究期間は令和8年度までで、現時点の報告は途中経過にあたる。

出典: 厚生労働科学研究成果データベース

Expertの視点

包装や販売名の表示は地味な領域だが、取り違えが起きたときに影響を受けるのは現場の医療者と患者である。英文販売名の任意化は、外国人患者や多国籍のスタッフが増える現場では利便性と誤読リスクの両面を持ち、一律の結論を出しにくい。継続中の研究であり結論は出ていないが、現場調査を積み上げてから制度に反映するという進め方自体は追っておく価値がある。

02

市場・経営

国内製薬主要7社の4〜6月期、17.3%増収・29%営業増益

国内主要製薬7社の2026年4〜6月期決算は、売上収益が3兆788億円で前年同期比17.3%増、営業利益は6,115億円で29.0%増となった。小野薬品を除く6社が増収。アステラス製薬は重点戦略品が牽引し営業利益が94.9%増と前年同期の約2倍になり、塩野義製薬はM&Aによる事業拡大で売上が63.7%増加した。円安による為替の押し上げも各社の業績を支えた。

出典: AnswersNews(2026年8月17日/各社決算発表をもとにした集計)

Expertの視点

二桁の増収増益だが、その内訳は重点戦略品・M&A・為替という限られた要因に集中している。既存品の国内売上が薬価改定で目減りする構造は変わっておらず、好決算がそのまま国内事業の底上げを意味するわけではない点は読み違えたくない。

国内医薬品市場、外資が2025年に49.3%——2026年にもシェア過半へ

IQVIAジャパンの集計(国内売上高上位100社が対象・市場全体の約95%をカバー)によると、国内医薬品市場に占める外資系企業33社(中外製薬を含む)のシェアは2020年の46.6%から2025年に49.3%へ上昇し、内資系67社の50.7%と拮抗した。年平均成長率は外資3.8%に対し内資1.7%で、2026年にもシェアが過半を超える可能性が指摘されている。2025年に登場した新薬55成分のピーク時予測売上高6,743億円のうち、85%を外資系企業が占める。

出典: AnswersNews(2026年8月18日/IQVIAジャパン集計をもとにした報道)

Expertの視点

シェアの逆転そのものよりも、新薬の85%が外資系という数字のほうが構造を語っている。日本市場に入ってくる製品の多くが海外で開発されている以上、国内での供給・流通・情報提供をどう設計するかという実務の比重は今後も増していく。なお本項の数値は二次媒体を通じたもので、当社が一次集計に当たったものではない。

国内医薬品市場、26年4〜6月は3.7%増——マンジャロが四半期500億円突破

2026年4〜6月の国内医薬品市場は2兆9,868億円で前年同期比3.7%増となった。チャネル別では病院(100床以上)1兆4,642億円(4.8%増)、開業医(100床未満)5,003億円(1.5%増)、薬局その他1兆223億円(3.2%増)。薬効別では抗腫瘍剤5,815億円(8.8%増)が最大で、製品別ではキイトルーダ586億円、マンジャロ506億円(126.2%増・四半期で初めて500億円超)、デュピクセント374億円が上位を占めた。

出典: AnswersNews(2026年8月18日/医薬品市場統計をもとにした報道)

Expertの視点

伸びているのは病院チャネルと抗腫瘍剤、そして自己注射を伴う代謝領域の製品である。いずれも温度管理や投与スケジュールの管理が前提になる領域で、市場の成長がそのまま流通・在宅管理の要件の重さに直結する。開業医チャネルの伸びが1.5%にとどまる点も、地域医療の側から見ると軽くない。

主要製薬10社の足元の国内売上は前年比2%程度増、6社が増収

主要製薬10社の足元の国内売上収益は、前年を2%程度上回って推移している。内訳は3月期決算7社(2026年4〜6月期)の合計が4,610億円で前年同期比0.5%減、12月期決算3社(2026年1〜6月期)が5,097億円で4.0%増。10社のうち6社が増収、4社が減収となり、塩野義製薬は買収の寄与で前年同期比137.3%増(約2.4倍)となった。※いずれも通期見通しではなく、開示済みの実績にもとづく数値。

出典: AnswersNews(2026年8月19日)

Expertの視点

四半期の連結決算が二桁の増収増益であるのに対し、国内に限れば2%程度、3月期決算組では微減という差が出ている。伸びているのは海外事業と為替の側であり、国内は薬価改定と後発品置換が続く前提で計画が組まれている。国内市場の伸び(4〜6月で3.7%増)を各社の国内売上がそのまま享受しているわけではない点は、数字を並べて初めて見える。

※ 本レポートは公開情報をもとにYap株式会社が編集したものです。「Expertの視点」はCEO 山本正也(NewsPicks Expert)による見解です。各項目の詳細は出典元をご確認ください。

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